春の始まりに、もう一度君に会いに行く。
少しの沈黙の後、愛莉が「ねぇ…」と口を開く。


「優芽ってさ、田川君のこと好きでしょ」と愛莉が言い切った。



「これが恋愛感情なのかはわからないけど、嫌いではないし一緒に居たいとは思うの」



私は二人を見ながらはっきりと答えた。



二人は顔を見合わせてニヤニヤし始めた。



あすかちゃんが笑いをこらえながら「ねえ優芽、それはもう田川に恋してるよ」と言った。


その隣で「そうだ!そうだ!」と愛莉が囃し立ててくる。



そうは言われても恋愛なんてしたことがないから本当にこの気持ちが恋なのか不安だ。



一人でモヤモヤしていると、察したあすかちゃんが「田川が他の女の子と付き合って手をつないでいるところを想像して優芽はどう思う?」と質問をしてきた。



田川君が他の女の子と手をつないでるところか…。



なんて言えばいいのだろう。


心が針のようなもので刺されたみたいにチクチクして痛いし、モヤモヤする。



「なんかモヤモヤするし、心が痛い」と正直に答えると、あすかちゃんと愛莉が顔を見合わせて何か言いたそうだ。



愛莉が近づいてきて私の方を掴んで「優芽、もうそれは恋だよ」と言い放った。
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