春の始まりに、もう一度君に会いに行く。

変わりたい

夏休みが終わり、今日は始業式だ。



休み明けってなんだか体がだるいし、気分が上がらない。



憂鬱な気分で駅まで歩き、いつも通りの電車に乗ると田川君が笑顔で｢おはよう｣と挨拶をしてくれた。



その笑顔が眩しくて目を反らしてしまいそうになるけれど、私も目を見て｢おはよう｣と返す。





田川君のことが好きって自覚してから会うのは初めてだから緊張して落ち着かない。




もともと人の目を見て離すことが苦手だけど、さらに目を見られなくなってしまった。




無愛想な人って思われたら嫌だな…。





と、一人で色々と考えていると田川君が口を開いた。




｢あのさ、佐々木さんに謝りたいことがあって｣



少し曇った表情で見つめてくる田川君に不安になりながらも｢どうしたの｣と返す。




｢一緒に夏祭りに行ったあの日、俺が佐々木さんのこと見失ったせいで怖い思いさせてごめんね｣




田川君が悪いわけではないのに申し訳なさそうに謝ってくれて優しい人なんだなと改めて感じた。





｢田川君が悪いわけじゃないんだから気にしないで｣と笑顔で返すと安心した表情を浮かべた。




｢怒ってたらどうしようってずっと休み中気にしてたから良かった｣




そう言って笑う田川君の姿を見てドキっと心が高鳴った。
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