春の始まりに、もう一度君に会いに行く。
私は、昔から学校という場所が苦手だった。




別に不登校でもなかったし、友達がいなかったわけでもなかった。




ただ、人の気持ちを感じ取りやすく、人の表に出していない心の中の感情を読み取ってしまい、集団生活の場面ではそういった感情が多く入ってきてしまうので苦手だった。



そのせいで、人の顔色が気になってしまって本当に仲の良い子にしか心を開けなくなってしまった。



親友と呼べる存在の子とは高校が離れてしまったので、高校では一人でもいいかなと考えていた。



まだ、半分寝ぼけたまま学校へ行く準備を始める。



まだ新しい制服を着て、髪の毛をセットして鏡でチェックする。



「よし、こんなもんかな…」


新しいスクールバックを持って、新しいローファーを履いて家族に向けて「行ってきます」と挨拶をする。




駅までの道のりを重い足取りで歩き、ふと空を見上げると数匹の鳥が空を飛んでいた。


「いいなぁ…」



私も鳥だったら、人の感情なんか気にせずにいきていけるのにな。



そんなことを考えたってしょうがないんだけど…。




駅に着き、電車を待つ間の時間も嫌いだ。



特に朝や夜の人が多い時間が苦手。



雑音も多く、人の流れも多いから頭が痛くなる。



「もう帰りたいな」



やっと電車が来て乗り込むと、「あれ？同じクラスの…」と声を掛けられた。
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