春の始まりに、もう一度君に会いに行く。
いつもより一本早い電車に乗り、一人で通学路を歩いた。


少し早い時間のせいか、人が少なかった。




この通学路を一人で歩くのは入学式の日以来かな。





何も言わずに時間を変えて、田川君はどう思ったかな。






特に気にもしていないのかな。






私は、少し寂しいなって思った。




それが好きって気持ちなのかはわからないけど、一緒に登校したいって気持ちもある。




一緒に登校したらまた小林さんに睨まれるんだろうな。





小林さんに嫌われる分には構わない。



だけど、あの人はクラスの中心的存在だから何してくるかわからない。




もしかしたら、私と仲のいいあすかちゃんにまで何かされるんじゃないか。







あるとは言い切れないけど、ないとも言い切れないからどうすればいいんだろう。






「わかんないよ…」



青空に向かって一人で呟いた。
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