新妻の条件~独占欲を煽られたCEOの極上プロポーズ~
「いろいろなものに興味を持つといい。そうすれば話も弾む」
「例えばどんな……? 私が興味あるのは馬や家の牧場、おじいちゃんと友人たちだけです」
「狭いな」

 瑛斗さんはバッサリ一刀両断した。そしてひと口大に切ったステーキ肉を口に入れて咀嚼する。

「狭くても生活に不自由はないですし」
「もちろん牧場の生活が君の中心だろう。しかし牧場を継いで続けていくにも、結婚して子どもを持たなくてはならない。そのためには、男からプロポーズされるような女性になるのがいいと思わないか?」
「ええっ……!?」

 男性からプロポーズ? 結婚? 子ども?

 すべて今まで考えたことがなかった私は、瑛斗さんの言葉に呆気に取られた。

「なぜ驚く? もしかして……結婚する気がない?」

 私はコクコクとうなずく。

 そんな私に、瑛斗さんは思考が一瞬止まったような顔になった。

「別に驚いたわけでは。私の周りに結婚したいと思える人なんていないし」

 牧場の跡を継ぐなんてとくに気にしていなかった。でも、言われてみて私の後が続かないことに気づいた。

 結婚をして子どもを産まないと、牧場の跡取りがいない。

「も、もうこんな話やめましよう。瑛斗さん、私の質問に答えてくれていませんよ。ニースの牧場は最寄りの駅から歩いていける距離ですか?」
「二十三歳の大人の女性なのに、中身は中学生……いや、小学生並みだな」
「瑛斗さんっ!」

 話をやめない彼に私は頬を膨らませる。

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