御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
唇が乾き、足がカタカタと震えて止まらない。目の前のムースはとろけて、装飾のチョコレートが傾いていく。それが残された時間の猶予のように思え、全身から汗が吹き出した。
心臓は不穏なほど嫌な鼓動をうっている。
美砂のためならなんでも耐えられると思っていた。それなのに、目の前のこの人に抱かれなければならないと考えただけで吐き気すらしてくる。
誰も私に触れないでほしい。触れていいのは透さんだけ。
「沙穂さん。決心はついた?」
悪魔のようにおぞましい声が私を急かす。彼の指が伸びてきて、私の髪をひと束、掬いあげた。ビクッと体が揺れるが、動けない。
無理……。私にはできない。
恐怖でついに涙が流れてくる。
テーブルにポタリと落ちると、じわりと透さんの優しい顔が浮かんできた。
透さん……。助けて……。
「お客様、困ります!」
すると、突如響いた目の覚めるようなウェイターさんの大声に、私は顔を上げ、池畠さんもうしろを振り返った。
目にした光景にさらに涙があふれてくる。
「俺の婚約者になにをしているんですか。池畠さん」
透さん……!
ウェイターさんの制止を押しきってこちらへやってきた透さんは、私の髪に触れていた池畠さんの手を掴みあげていた。
心臓は不穏なほど嫌な鼓動をうっている。
美砂のためならなんでも耐えられると思っていた。それなのに、目の前のこの人に抱かれなければならないと考えただけで吐き気すらしてくる。
誰も私に触れないでほしい。触れていいのは透さんだけ。
「沙穂さん。決心はついた?」
悪魔のようにおぞましい声が私を急かす。彼の指が伸びてきて、私の髪をひと束、掬いあげた。ビクッと体が揺れるが、動けない。
無理……。私にはできない。
恐怖でついに涙が流れてくる。
テーブルにポタリと落ちると、じわりと透さんの優しい顔が浮かんできた。
透さん……。助けて……。
「お客様、困ります!」
すると、突如響いた目の覚めるようなウェイターさんの大声に、私は顔を上げ、池畠さんもうしろを振り返った。
目にした光景にさらに涙があふれてくる。
「俺の婚約者になにをしているんですか。池畠さん」
透さん……!
ウェイターさんの制止を押しきってこちらへやってきた透さんは、私の髪に触れていた池畠さんの手を掴みあげていた。