御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
私の手をとって店を出るとき、透さんは池畠さんを振り向いた。

「なにがあったか追及します。うやむやにはしませんので、そのつもりで」

その言葉に私もゴクリと息を飲む。池畠さんは「それを彼女が望んでいるならね」と卑怯な言い方で反発するが、透さんはこれ以上は無駄だとばかりに扉を閉めて話を遮った。

明るい外の喧騒に戻った。透さんはふらつく私を支えながら、なにも問い詰めることなくマンションへと一直線に向かっていく。

どこから見てたんだろう。なにか言い訳ができるかな。
ううん、この私のおびえっぷりでは、なにも隠せそうにない。

「透さん……」

小さく呼んでみるが、彼は「家で聞く」とだけつぶやき、こちらを見てはくれない。

怒ってる……?

不安でまた泣きそうになりながら、必死でついていった。
< 102 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop