御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
消せない過ち
父の車で自宅へ戻った。父と姉は私に黙ってお見合いを仕組んだというのに、もちろん謝罪はない。
それどころか、帰るなりうまくいったと興奮気味にはしゃいでいる。
「まさかふたりとも今日の今日で婚約を決めるなんて、やっぱりお似合いね! ねえパパ、 透くんにいつ挨拶に来てもらう?」
姉の高い声が玄関に響く。
とりあえず透さんとはホテルで解散した。改めて母や池畠さんもいるときに挨拶に来るという。
私はヒールを脱ぎながら、先にリビングへ向かうふたりの会話を聞いていた。
「僕たちは透くんならいつでも歓迎だよ。大丈夫、彼はそこらへんもよく考えてくれるから。沙穂と付き合って、ちゃんといいタイミングでこちらに来るさ」
「パパったら本当に透くんがお気に入りなんだから」
「仕事でもプライベートでもいい男だからねぇ。文句のつけどころがないんだよ。彼が沙穂をもらってくれたら安泰だ」
ふたりの会話には混ざらず、ついでにリビングにも入らずに、私はルームシューズをはいて二階の自室に向かった。
編み込みをほどき、ウェーブの跡が残るセミロングをくしで整え、パールの小物をドレッサーの定位置に戻した。
四畳あるウォークインクローゼットに入り、ルームワンピースに着替える。