御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
ふたつに折り畳み、封筒とシールを添えてリビングへと持っていく。
姉は笑いながらテレビを見ていた。

『お姉ちゃん。書けたよ。これでいいか確認してもらえる?』

隣に座り、テーブルに一式を出す。彼女は手紙の件を忘れていたのかポカンとした顔をするが、すぐに思い出した様子で目を輝かせた。

『ありがとう! どれどれ?』

姉は一枚およそ三秒、計六秒目を通し、すぐに封筒に入れてシールを貼った。

『さすが沙穂ちゃん! バッチリ! さっそく次会ったときに渡してみるね』

いやいやいや。

『ちゃんと読んだ!?』

『うんうん。読んだから大丈夫だよ』

絶対読んでない! 話すときつじつまが合わなくなったらどうするつもりなんだか。
もうシールで封をしてしまったし。渡す前にコピーをとっておくべきだったかな。
美砂について嘘は書いていないから、とりあえず大丈夫だと思うけど。


それから一週間後。また勉強中の私の部屋に、興奮した様子の美砂が駆け込んできた。

『お姉ちゃん? どうしたの?』

ゼーハーゼーハーとお嬢様らしからぬ荒い息をしながら、私の机にやってくる。

『これ見て沙穂ちゃん!』

すると彼女はパシンと勢いをつけ、私が広げている参考書の上に白い封筒を置いた。

『……これって、もしかして』

『返事がもらえたの! 透さんから! 今日珍しく交流会に来て、こっそり渡されて』
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