御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
きゃー!
私は『すごいすごい!』といつになく騒ぎながら、姉と手をとりあって喜び合う。

手紙を書いてから一週間、彼からはなんのアクションもないと聞き、正直あきらめかけていたのだ。
それがまさか返事の手紙が来るだなんて、こちらも飛び上がるほどうれしい。

『なんて書いてあった!?』

興奮冷めやらぬまま尋ねた。しかし、よく見たらまだ封のシールすら開けた形跡がない。

『まだ見てないよ。書いたのは沙穂ちゃんだから、最初に見るのは沙穂ちゃんがいいかなって』

ええ? お姉ちゃん宛の手紙なんだから、私を待つ必要ないのに。
しかしあくまで私におまかせするつもりらしく、渡された手紙を姉にも見えるように開いた。

【乙羽美砂さんへ】

とても達筆だ。書道かボールペン字を習っていたような字をしている。

【手紙をくれてどうもありがとう。今まで気付かなくてごめんね。きみのことはとてもよく分かったよ。俺も同じくらい自己紹介をすべきかな。きみが教えてくれたほどの面白い話はないけれど、読んでもらえるとうれしい】

わぁ……なんて誠実な人なんだろう。
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