御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
【サークルでは話せる時間が少ないし、もしよければまた返事を書いてくれないかな。楽しみにしてるよ】

そう締めくくられた便箋二枚の文章。読み終えると軽く感動さえ覚えた。私が書いたときと同じだけの熱量を感じるものだった。相手の顔さえ分からないのに、まるで気持ちが通じ合ったかのように錯覚する。

『お姉ちゃん。返事が欲しいって書いてあるんだけど……』

ブレスレットを手首に通して遊んでいた美砂は、私の困惑した声にやっとこちらへ目を戻した。

『本当? じゃあまた渡すから、沙穂ちゃん書いてよ』

『ええ!?』

やっぱりそうなると思った! 美砂は時間をかけて考えるのは苦手な直感タイプだから、手紙を送り合うなんてできないだろう。その時点で透さんとお似合いなのかが疑問だけど。

このまま私が書いていいのかな。なんだか真面目な透さんを騙しているようで気が引ける。

でも返事を催促されているのに、一方的に終わりにするのもどうだろう。

『大丈夫。仲良くなるまでだから。ね、お願い! 沙穂ちゃん。ダメ?』

うぅ……。

『……仕方ないなぁ。仲良くなるまでね』

美砂はまた、パッと花が咲いたような笑顔になる。
まったくもうと呆れつつ、私は密かにワクワクしていた。
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