御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
「なに食べたい?」

顔を近づけてそう聞かれ、いろいろ緊張しすぎて縮こまると、助けを求めるように彼の目に訴えた。

「透さんが決めてもらえますか。私はなんでも好きです。甘いのもしょっぱいのも。初めてで選べなくて……」

耳まで熱く、真っ赤になっている自信がある。遊び慣れていなくて恥ずかしい。世間知らずだと思われたかな。

こんなことで透さんにしがみついて震えている自分に気付き、ハッとした。頭上の彼がなにも言ってくれないため、慌てて体を離す。

「すみません! 私……」

あきれられたかと必死に言い訳しようとしたが、透さんはポーッと熱っぽく私を見ているだけ。

「透さん?」

「……あ、ごめん。なんか、かわいくて」

かっ!? ……んもう!

これはまずいとやっと危機感を持ち、私は彼から距離をとった。
透さんってすぐかわいいって言う! 口癖なのかな。とにかく私には危険すぎる。不整脈で死んじゃったら間違いなく彼のせいだ。
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