御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
乙羽美砂に手紙を渡して一週間後、さらに彼女を通じて返事がきた。
俺はその場では読まず、自宅に持ち帰り、きちんとデスクのチェアーに座って封を開けた。

前回と同じ、綺麗な文字が並んでいる。字の形からして、おそらく相手は女性だ。

定型の挨拶や、手紙のお礼が綴られた後、彼女は俺の【つらいことも多いだろう?】という質問に答えている。

【ーー日々悩んでいると書きましたが、周囲に恵まれ、私はつらいとは感じていません。透さんは次男だから気楽だとおっしゃっていましたが、本当ですか?】

え……?

【次男だからこその苦労があったのでは、と思えてなりません】

その一文を読んだとき、俺は心が揺さぶられた。

どうして見抜かれた? 一生兄の後に続く人生だと自覚したときのやりきれない思いは、これまで俺の内に秘め、友人はおろか家族にすら話したことはない。
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