御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
各部署へ転送してとりあえず一段落。
さあこれからお昼だというところで、目の前の内線電話が鳴った。
「はい」
『あ、沙穂かい?』
お父さん……!
「しゃ、社長? 何か?」
娘に対する猫なで声に、こちらは堅く迎撃する。
なるべく普通の社員として業務にあたりたいと考えているのにまったく気にせず、父はよくこうして気軽に連絡をしてくる。困ったものだ。
『もうすぐお昼だろう? 社長室まで上がっておいで』
「ええ? どうしてです?」
『いいからいいから』
父とはいえ社長命令だし、どうせ断っても引き下がらないから従うしかない。皆の手前、しっかり公私の区別をつけたいのに。
受話器を置いてから席を立ち、貴重品の入ったポーチを持って、窓際のデスクにいる川澄さんのもとへ。
「すみません、休憩いただきます。社長に呼ばれているので、時間に戻れるかどうか……」
川澄さんはもう慣れたのか明るい表情を変えず、「いってらっしゃい」と声をかけてくれる。
「本当に、いつもいつも申し訳ないです……」
「いいのよ。沙穂さんはしっかりやってくれているから助かってるし。社長直々のお呼びだしなんだから、気にしないで」
なんていい人なの……と涙ぐみながら、私は一礼して総務部を出た。
さあこれからお昼だというところで、目の前の内線電話が鳴った。
「はい」
『あ、沙穂かい?』
お父さん……!
「しゃ、社長? 何か?」
娘に対する猫なで声に、こちらは堅く迎撃する。
なるべく普通の社員として業務にあたりたいと考えているのにまったく気にせず、父はよくこうして気軽に連絡をしてくる。困ったものだ。
『もうすぐお昼だろう? 社長室まで上がっておいで』
「ええ? どうしてです?」
『いいからいいから』
父とはいえ社長命令だし、どうせ断っても引き下がらないから従うしかない。皆の手前、しっかり公私の区別をつけたいのに。
受話器を置いてから席を立ち、貴重品の入ったポーチを持って、窓際のデスクにいる川澄さんのもとへ。
「すみません、休憩いただきます。社長に呼ばれているので、時間に戻れるかどうか……」
川澄さんはもう慣れたのか明るい表情を変えず、「いってらっしゃい」と声をかけてくれる。
「本当に、いつもいつも申し訳ないです……」
「いいのよ。沙穂さんはしっかりやってくれているから助かってるし。社長直々のお呼びだしなんだから、気にしないで」
なんていい人なの……と涙ぐみながら、私は一礼して総務部を出た。