御曹司は箱入り娘を初夜に暴く～お見合いしたら、溺愛が始まりました～

「で、今回呼び出したのは僕から提案があるからなんだ」

話がちょうどよくまとまったところで、父が本題を切り出した。
四人で父に注目する。

「僕はね、結婚するなら一緒に住んで生活してみてから決めるべきだと常々考えているんだ。どうかな、試しにうちで同居の期間を設けてみないかい」

透さんの体がピクッと反応したのが分かった。私も同じく、唐突な父の思いつきに「そんないきなり……」と小さくもらす。

しかし、美砂はすぐに「素敵！」とはしゃぎながら、池畠さんの腕に抱きついた。

「同棲って夢だったの！ いいよね、和志さん」

「もちろん。僕はいずれそちらのお家に入るわけだから、かまわないよ」

そりゃ、そっちのカップルはそうかもしれないけど……。

「透さん……」

困惑した表情を彼に向けて意見を求めたが、それを美砂が遮った。

「ねえ沙穂ちゃん、透さん！ ふたりも一緒に暮らしましょうよ！ 部屋はたくさん余ってるし、きっと楽しいから」

池畠さんの次に私の腕に絡みつく美砂。私は苦笑いをしながら、冷や汗をかいていた。
ふた組とも一緒に暮らす、となれば、毎日池畠さんが家にいるのだ。なにをされるか分からない。