御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
同居開始

週末。私の引っ越しは身軽なもので、トランクに荷物を詰め、迎えにきた透さんの車に乗り込んだ。

家族にはまるで今生の別れのように見送りをされて恥ずかしかったけど、これから始まる透さんとのふたり暮らしにドキドキしてどうにかなりそう。

「よ、よろしくお願いします」

「こちらこそ」

透さんとはあれから特に連絡はとらず今日を迎えた。心なしか、いつもより口数が少ない気がする。
やっぱり怒ってるのかな……。
不安になるものの、尋ねることはしなかった。

高層マンションに到着すると、地下駐車場に車を停め、そこからトランクを持ってくれる透さんにくっついて彼の部屋へ向かう。

地下からエントランスへ出たときのビル風や、コンシェルジュさんがいるフロント、「Closeing the door」と英語のアナウンスが響くエレベーターなど、実家から出たことのない私にはすべてが新鮮だった。

少しだけ怖くて、透さんの後ろにピタリとくっつき、離れずにいた。
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