御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
どういう意味……?

熱っぽい視線にあてられ、頭がくらくらする。防音の壁にかこまれ静まりかえった部屋では、自分の心臓の音ばかりが体の内側に響く。

とにかく透さんに苦言を呈されている状況だと理解でき、私は焦って彼の手を両手で握りしめ、体を向き合わせた。

「すみません。美砂が一緒に暮らそうって誘ってくれていたのに、私のわがままのせいでご迷惑をおかけしてしまって」

「え? いや、違ーー」

「どうしてもあの人が嫌だったんです! 池畠さんと同じ家で暮らすのが、どうしても……」

言っちゃった……。一度彼を嫌だと白状しているから問題はないけど、こんな文句ばかりの女、透さんもあきれているだろう。

おそるおそる表情を確認すると、彼はなにか考えこんでいる。

「前も聞いたけど。どうしてそこまで嫌なの? ……なにかされた?」

鋭いっ。

「あっ、いえ、そうではないんですが」

言い寄られていると透さんに勘づかれてはダメだ。まっすぐな彼は、美砂に隠さず話すべきだと考えるはず。
たしかにそれなら簡単に破局するかもしれない。でも、美砂をどれだけ傷つけるか。

しかもその元凶が私だなんて、絶対ダメ。
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