御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
「でも、ベッドは一緒だよ。いいね?」

そう付け加えられ、私は弾んだ気持ちで「はいっ」と返事をした。しかし改めてベッドを思い出し、想像してみてハッとする。

「……一緒に寝るってことですか?」

小さい声で尋ねるが、心臓はバクバクと鳴っている。
たしかに広いベッドだけど、男の人とふたりで一緒に寝るなんて……!

「やっと気づいた?」

透さんは少しいじわるな笑みを浮かべている。
からかってるのかな? 冗談?
でも、他にベッドはないし……。

「透さん。私、男性と一緒に寝た経験はないんですが……それでもいいんですか?」

文字通りの意味で質問したのだが、透さんは突然大きく咳き込み始める。また背中をさすってあげてしばらくすると、真っ赤な顔の彼が体を起こし、目を合った。

「それって、どういう意味で言ってる?」

神妙に問われ、こちらもドキッとする。

「え? ですから、私は男性と同じベッドで寝たことはないんです。初めてなのでもしかしたら寝相が悪いかもしれませんし、いびきをかいてしまうかも。透さんをベッドから落っことしてしまったりしたら、ごめんなさい」

「……ていう意味?」

「は、はい」

今度は「ハァーッ」とため息をついて肩を落とした。透さんてば、今日はなんだか百面相をしている。
どんな顔をしていても素敵だなぁ。彼の部屋にいるのがすでに非日常すぎて、私はふわふわとそんなことを考えていた。
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