御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
ちらっと池畠さんを盗み見て、嫌な気分になりながらも考えを巡らせた。
オーナーが私のような女性を連れて来店したら、シェフやウェイターさんは「お連れ様はどなた?」と尋ねるものではないだろうか。それがまったくない。
皆して黙り込み、触れもしないなんて。もしかして、この人はいつも女性を連れて来店しているのでは?
「王子様との生活はどうだい?」
こちらからの疑いの視線をかわし、彼は見つめ返してきた。
「三鷹さんです。そんなふうに呼ばないでください」
「少し美砂から聞いたよ。学生時代に縁のあった彼なんだってね。ずいぶん大物に唾をつけてたんだな」
ひどい言い方!
腹が立ったが、完全な相手のテリトリーで声をあげるのは躊躇われる。
「お嬢様が昔から憧れていた彼か。相手も見たところ、苦労ひとつせず育ってきたお坊ちゃんだね。お似合いだ」
「やめてください」
軽々しく語らないでほしい。この人に透さんのなにが分かるっていうの。日々努力して今の地位を築いた彼が、苦労していないなんて誰も決めつける権利はない。
少なくとも、私は彼の苦労を知っている。
オーナーが私のような女性を連れて来店したら、シェフやウェイターさんは「お連れ様はどなた?」と尋ねるものではないだろうか。それがまったくない。
皆して黙り込み、触れもしないなんて。もしかして、この人はいつも女性を連れて来店しているのでは?
「王子様との生活はどうだい?」
こちらからの疑いの視線をかわし、彼は見つめ返してきた。
「三鷹さんです。そんなふうに呼ばないでください」
「少し美砂から聞いたよ。学生時代に縁のあった彼なんだってね。ずいぶん大物に唾をつけてたんだな」
ひどい言い方!
腹が立ったが、完全な相手のテリトリーで声をあげるのは躊躇われる。
「お嬢様が昔から憧れていた彼か。相手も見たところ、苦労ひとつせず育ってきたお坊ちゃんだね。お似合いだ」
「やめてください」
軽々しく語らないでほしい。この人に透さんのなにが分かるっていうの。日々努力して今の地位を築いた彼が、苦労していないなんて誰も決めつける権利はない。
少なくとも、私は彼の苦労を知っている。