御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
「もし彼より先にきみに男を教えたら、どんな顔して怒るだろうねえ」

ゾワッと寒気がした。
いつも下品なことばかりで、最低な人。心の中では蔑んで反抗してみるのに、本当は怖くてしかたがない。
私を女として囲おうとするその目が、汚ならしくて直視できない。

「やめて、ください……」

「俺にとってはね、女性は料理と同じなんだ」

デザートが運ばれてきた。

ウェイターさんが果実のムースについて詳しい説明をしてくれるけれど、まったく頭に入ってこない。
去っていくと池畠さんの話の続きが始まる。

「美味そうなものは味見してみたくなる。それが貴重なら貴重なほど、燃えるよね」

私に重ねているのだと気付くと、身体中の毛が逆立った。

「義理の妹としてきみを紹介されたとき、なんて美味そうなんだと思ったよ。男を知らなそうな純粋な佇まいが魅力的だ」

「なんて言われても、私は無理なんですっ」

「……さっきも話したけど、美砂はどうするんだい?」

ハッとして顔を上げると、池畠さんはデザートをつつきながらニヤニヤと笑っていた。
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