懐妊一夜~赤ちゃんを宿したら極上御曹司の盲愛が止まりません~
ほぼ胃の中には固形物がない状態だというのに、吐き気が収まらない。

いったいどうしたというのだろう。だいぶ精神的にやられているということなんだろうか。

ガチャー

しばらくして吐き気が収まり、トイレから出た私の目に茜が心配そうに駆け寄ってきた。

「お水飲む?」

ミネラルウォーターのペットボトルを手渡して、私の顔を心配そうに茜が覗く。

「ありがとう。心配掛けてごめんね。もう吐き気も収まったし大丈夫だよ」

作り笑いをしながらそう答えた。

「蜜葉、あのさ……」

「ん?」

「私の勘違いかもしれないけれど……生理ちゃんと来てる?」

「え?」

どこか言いづらそうに茜がそう言って、私の目を真っ直ぐに見つめる。

「……最後に来たのは十二月」

茜に言われて考えてみれば、十二月に来て以来、生理が来ていないことに気がついた。

もともと生理不順の私。だから数ヶ月来ないこともしばしばある。だから今回も気にかけていなかったのだが……こんな風に吐き気に襲われるのは初めてで。

茜に言われて、はっとした。

「……私、薬局に行ってくるから蜜葉はここで待ってて!」

茜が慌ててマンションを出て行った。
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