嫌いなあいつの婚約者!?
 午前の授業が終わって、ランチの時間が来た。

 ホテルのレストランのようなところに連れてこられ、そこにはまるで宝石のように輝く料理たちが並べられており、皆好き好きにそれをお皿の上に乗せている。

 私も、杏里に続いて適当に料理をお皿の上に盛った。

「で、あのさ、私と涼が婚約者って、いつ決まったんだっけ?」

「桜、記憶喪失にでもなったの? 桜の誕生日にパーティーで発表されたじゃない」

「あ、そ、そうだったね」

「もう、変なの。昨日まではあんなに好きそうだったのに。頭でも打ったの?」

「私が涼を?」

「そうよ。他に誰を? 涼くんに他に好きな人がいるかもって悩んでたのに」

 この世界の私は、きっとおかしい。

 それより、本当に涼に好きな人がいるとしたら、もしかしたら婚約を破棄できたりするんじゃないだろうか。

 というより、この世界に私はいつまでいなきゃならないのだろう。

 もう帰られないのだろうか。

 いきなり変わった世界で、一生死ぬまで生きていかなければならない、でも、こっちの方が快適といえば快適なような気もする。

 こんなに豪華なランチも食べられるし。

「きっと少し疲れているんだわ」

「うん、そうかも」
 
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