妖の木漏れ日カフェ
「……あえて、ラベンダーだけ、というのはどうでしょう? それに蜂蜜を加えるんです。買ってきた本に、ラベンダーは高ぶった精神を鎮めたいときに飲むといいと書いてありました。私だけかもしれないですけど、蜂蜜も同じように心がほっとするんです。きっとシドウさんも心落ち着く時間を楽しみたいはずです」

「うん……そうだな。それなら、蜂蜜をどれだけ入れるかを考えるか。……ていうか、いつ来る予定なんだろうな」

「確かに、シドウさんは何も言っていませんでしたね」

「多分、ふらっと来ると思います。シドウさんは、そういう人ですから」

 キキョウさんの言葉には、説得力がある。

 ずっと近くで見てきたんだろうから、私やカイさんよりも何倍もシドウさんのことを理解していて、少なからず愛情だってあるはず……。

「いつでも淹れられるようにしとかないとだな……」

「そうですね」

 その後、寝るまでの時間に蜂蜜の量を変えてラベンダーティーを淹れる。でも、納得のいくものはやっぱりそう簡単には出来なくて、今日は一旦休むことにした。
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