妖の木漏れ日カフェ
「それじゃあ、おやすみなさい」

 2人に挨拶をして部屋に戻ってくると、すぐに災いに関する本を開く。

 どこかに、種がある場所のヒントが書いてあるかもしれない。1文字ですら見逃さないように集中して文字を追っていく。

 ふと本から気を抜くと、外から何かの鳥の鳴き声が聞こえてきた。

 閉じていた窓を開けると、少し冷たい風が吹いていて頬をかすめる。日が経つにつれ、だんだんと空気が冷たくなっていくのを感じる今日この頃。

 私の住んでいるところは冬と言っても雪はほとんど降らないけれど、ここはどうなんだろう。カレンダーを見ると10月で、自分の住んでいるところの10月よりも大分夜は冷え込んでいる。

 一面真っ白の雪化粧を想像すると、子どもが雪を見て興奮するが如く、私の心も踊ってくる。

 災いなんて早く消えて、この地に平和が訪れればいいのに。ねえ、どこなの? キセキバナは、どこにあるの?

 私は本当に、この世界を救うことができるの?
 











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