妖の木漏れ日カフェ
 今日も1日何の収穫も得られないまま過ぎ、そろそろお風呂に入ろうとして何気なく窓の外を見た瞬間、ちらちらと白いものが空から落ちてくるのが見えた。

「あ……雪……」

 と同時に、胸にあるものが光りだす。

 それは、ヤクモさんから貰ったネックレスで青く光っていて、それから一筋の光の線が出ていて、どこかを指していた。

 これって、おみくじに書いてあったことと同じ……。

「これ……キ、キキョウさん」

 隣の部屋で休んでいるキキョウさんの元に行って、それを見せる。

「この光の筋……」

 この先に何かがある、もしかして種かもしれない。

「なんだろう、でも、なにか絶対に意味のあるものだね。この光の先に行ってみよう」

「はいっ」

 それは庭の方を指していて、すぐに外に出るとカイさんのハーブ園の一部を指している。そして光が吸い込まれている部分により強い光があった。

 何かがそこにあることを示しているようで、すぐにそこの土を掘り返す。

 もしかして……。

 期待で、胸が早く動く。お願い、そうであって。

「あ……」

 あった、光り輝く何かの種。

「まさか、これがキセキバナの種?」

「きっと、そうですよ。絶対に、そうです」

 その種は触れてもなお、光ることを止めずに輝きを放っている。

「カイさんっ」

 家の中にいるカイさんの元へすぐにそれを持っていくと、カイさんは目を見開いてそれを見た。

「もしかして、それが?」

「多分、そうだと思います」

「これをシドウさんに見せれば、花が咲くはずだね」

 私の気持ちがこれでシドウさんに伝わってくれるはず。

 私はただ、この世界の平和を願っているだけだと。

 ここの皆が笑って過ごせるこの世界を守りたいだけだと。

「はい」

 きっと、シドウさんも少しでも人間のことを好意的に捉えてもらえるはず。


 
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