妖の木漏れ日カフェ
「ねえ、もうすぐ桜が咲く季節になるわね」

 寒さの中にも穏やかな空気が流れるようになったこの頃。

 街を覆う雪の高さもだんだんと低くなる。

「そうだねえ。どうだい、みんなでうちの桜を観に来るのは」

「あら、いいの?」

「ああ、もちろんさ。それに、キキョウも真由さんがもし来てくれたら喜ぶね」

「そ、それは……」

「ふふっ、いいねえ、青春は」

 あれからまだキキョウさんに会えていない。

 キキョウさんにも相当の力が降り掛かっていたはずなのに、それでも最後まで私のことを見てくれていた。

 いつも自分のことよりも、私のことを考えてくれる。

 会いたい。

 ただ、キキョウさんの元気な姿を見たい。

「あ、あの……」

「今日は5時にあがっていいぞ」

 私の思いを察したカイさんは、首を縦に振ってくれた。

「ありがとうございますっ」







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