妖の木漏れ日カフェ
 部屋で1人休んでいると、「真由、ちょっといいか?」とお爺ちゃんが訪ねてきた。

「真由は、妖の世界に行ってきたのか?」

「お爺ちゃん、なんでそれを」

「昔から我が家に言い伝えがあってな。多分お婆さんもそこに行ったんだろう」

「うん……お婆ちゃんに会ったよ。お婆ちゃんが、動物たちの苦しみや痛みを救ってくれたの」

「そうかい、それはよかった」

「……うん」

 あの世界の話をすると記憶が湧き水のように込み上げてくる。

 もう一度会いたい。皆に会いたい。

 でもきっと、次に行ったらそれこそ帰りたくなくなる。ずっとそこにいたくなってしまう。

「真由も頑張ったんだろう? だから帰って来られた」

「……そうだね、心が折れそうな時も…………皆がいてくれたから」

 目が潤んでくるのが分かる。

「真由は、真由の好きなように生きなさい。お爺ちゃんは、それを望む」

「お爺ちゃん……」

 それを言うとお爺ちゃんは部屋から出て行った。
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