妖の木漏れ日カフェ
 探しているものは2つ。

 1つはハーブに関するものと、もう1つはこの前から探しているこの土地に関するもの。

 ハーブの方は多分すぐに見つかると思うけど、問題は後者。でも、これだけ大きな本屋なら1冊くらいあっても不思議じゃないと思う。

 中に入ると、空間は本で埋め尽くされていた。茶色ベースの空間は落ち着きがあって、本に相応しい環境だ。

「わあ、すごいですね」

「ここに来れば大抵のものは揃うからね。ただ、カイのところからだと少し遠いのよね」

 確かに、ここまで来るのに30分は歩いた。

 そんなに歩かせてしまってスミレさんに悪いと思いつつ、カイさんのことを思うと1人でどこかに行くことは出来ない。

 私に何かあったらきっと、カイさんは自分を責めてしまうと思うから。

 ただでさえお世話になっているのだから、それ以上の迷惑をどうしてかけることが出来るだろうか。

 一旦スミレさんと別れて、先に街のことに関する本を探すことにした。

 地域・伝統コーナーに来ると、分厚い本がかなり多くの数並んでいて、この中になら1冊くらいありそうな雰囲気が漂っている。

 視線を左から右へとどんどんと移していくと、『人間と妖の歴史』という題名の本が目に入ってきた。

 腕を伸ばしてその本に触れたとき、知っている声に話しかけられる。

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