妖の木漏れ日カフェ
 カフェが休みの今日、朝からハーブティーを淹れる練習をカイさんと2人でしている。

 部屋の中に充満するカモミールの香りは精神を落ち着かせてくれるにはぴったりで、その香りを楽しみながら、気合を入れて練習をする。

「……うん、まあまあだな」

 私の淹れたハーブティーを飲んで、カイさんが感想をくれる。

「頑張りますっ」

 



 1時間ほど経った時、カイさんは「そろそろ休憩するか」という言葉を掛けてくれた。

 ほぼずっと同じ姿勢だったから、腕を伸ばして体をほぐす。

 軽くストレッチをしていると、カイさんが何かを冷蔵庫から取り出しているのが見えた。

 その手には、艶やかに光る大きな粒のマロングラッセがあった。

「これ、試作なんだが食べるか?」

「はいっぜひ」

 自分で淹れたハーブティーと、カイさんの手作りのマロングラッセを前に、昼までまだ1時間以上あるにも関わらずお腹がぐうっと鳴る。

「早く食べるか」

「は、はい」

 恥ずかしさを飲み込むようにマロングラッセを口の中に入れると、甘さがほわんと口の中に広まって、噛むとさらに深い甘さが味わえる。

 うん、美味しい。

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