お見合い回避のために彼氏が必要なんです
レストランでは、私と先輩が並んで座り、母が私の向かいに座った。先輩は母にメニューを差し出し、もうもう一冊のメニューを私との間に広げる。
「清香は、魚より肉だよな? こっちのコースでいい?」
と肉と魚両方のフルコースではなく、肉料理メインのコースを指差す。
「う、うん」
先輩、なんで私が魚苦手なこと、知ってるの!?
ていうか、呼び捨て!?
突然のことに、心臓がバクバクと音を立てる。
先輩の言葉を聞いて、母も乗る。
「じゃあ、私も同じのにするわ」
先輩は、3人分の注文をしてくれた。
「北村さんは、どこにお勤めなの?」
あっ!
これで、フリーターとか言ったら、絶対反対するパターンだ。
私は、ドキドキしながら、先輩の返事を待つ。
「申し遅れました。私、こういう者です」
と先輩が差し出した名刺には、
『一期一会株式会社 代表取締役社長
北村 祐輔』
と書いてあった。
しゃ、社長!?
驚く私の隣で、先輩は涼しい顔だ。
「まぁ、社長さんなの!? まだお若いのに。
清香とはどうやって?」
「実は、清香さんとは、中学で同じ放送部だったんです。彼女が喋ってる陰で、機械を操作してたのが僕で。偶然、こっちで再会したので、あの頃の片思いを成就させたくて、頑張りました」
先輩の考えたシナリオだけど、聞いてて切なくなる。あの頃、片思いしてたのは、私なのに。
「そうなんですか? この子、昔っから全然、男っ気がない子で心配してたんですよ?」
お母さんってば、余計なことを……
「そんなこと、ありませんよ。それは、多分……
これ言うと、怒るかな?」
先輩は、私のご機嫌を伺うようにちらりと見る。
「え、何?」
私が首を傾げると、先輩は机の下で私の手を握った。
な、何!?
「清香さんは、素直なのがいいところなんですが、素直すぎて、言葉通りにしか受け取ってくれないんですよ。いくら好意をほのめかしても、全然気付いてくれないので、みんな勝手に玉砕していくんです」
「そ、そんなことっ」
ない……と思う。
「清香は、魚より肉だよな? こっちのコースでいい?」
と肉と魚両方のフルコースではなく、肉料理メインのコースを指差す。
「う、うん」
先輩、なんで私が魚苦手なこと、知ってるの!?
ていうか、呼び捨て!?
突然のことに、心臓がバクバクと音を立てる。
先輩の言葉を聞いて、母も乗る。
「じゃあ、私も同じのにするわ」
先輩は、3人分の注文をしてくれた。
「北村さんは、どこにお勤めなの?」
あっ!
これで、フリーターとか言ったら、絶対反対するパターンだ。
私は、ドキドキしながら、先輩の返事を待つ。
「申し遅れました。私、こういう者です」
と先輩が差し出した名刺には、
『一期一会株式会社 代表取締役社長
北村 祐輔』
と書いてあった。
しゃ、社長!?
驚く私の隣で、先輩は涼しい顔だ。
「まぁ、社長さんなの!? まだお若いのに。
清香とはどうやって?」
「実は、清香さんとは、中学で同じ放送部だったんです。彼女が喋ってる陰で、機械を操作してたのが僕で。偶然、こっちで再会したので、あの頃の片思いを成就させたくて、頑張りました」
先輩の考えたシナリオだけど、聞いてて切なくなる。あの頃、片思いしてたのは、私なのに。
「そうなんですか? この子、昔っから全然、男っ気がない子で心配してたんですよ?」
お母さんってば、余計なことを……
「そんなこと、ありませんよ。それは、多分……
これ言うと、怒るかな?」
先輩は、私のご機嫌を伺うようにちらりと見る。
「え、何?」
私が首を傾げると、先輩は机の下で私の手を握った。
な、何!?
「清香さんは、素直なのがいいところなんですが、素直すぎて、言葉通りにしか受け取ってくれないんですよ。いくら好意をほのめかしても、全然気付いてくれないので、みんな勝手に玉砕していくんです」
「そ、そんなことっ」
ない……と思う。