夜空に見るは灰色の瞳
「もしかしてそれは、お疲れのサインですか?再びウサギの出番でしょうか。それとも次はモルモット?湯船に水が溜まるまで待ってもらえたら、もっと大きな動物でもいけますよ」


そう言いながら、男は今にも立ち上がろうとしている。
いつぞやと同じ、心なしか楽しそうというか、ワクワクしているように見える。


「……今はそういう気分じゃないのでいいです。ていうかあなた、自分が魔法使いだってことを隠したりしなくてもいいんですか?」

「それなりに隠して生きていますよ?」

「……それなりって。バレたら大変なことになると思いますけど」


そうなったらきっと、テレビや新聞を騒がせるようなことになって、万が一にもその男が私の家に出入りしていたことが知られでもしたら、私まで大変なことになりそうだ。

アパートの前に報道陣が群がる、なんてことになったら、確実にもうここには住めない。
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