夜空に見るは灰色の瞳
「そこは、叶井さんも前に仰っていたように、どうせ誰も信じませんから大丈夫かと」

「……それは、そうかもしれませんけど、でも中には信じる人だっているかもしれませんし、気を付けるに越したことはないと思いますけど……」

「なるほど。それは、叶井さんのような方というわけですね。確かに、全ての人が叶井さんのようにいい人であるわけではないですもんね」


いつの間に私は“いい人”に認定されたのだろうかと思ったが、まあ納得してくれたようなのでいいとする。


「そんなにも僕のことを心配してくれるなんて、叶井さんは優しいですね」

「……いや別に、心配とか、そういうわけでは……」

「これは、お詫びにプラスして心配してくれたお礼も必要ですね!」

「……いや――、…………はい?」


何だろう、話が予期せぬ方向に進んで行こうとしているような……。


「これからはより一層、叶井さんのために尽力しますよ!気軽に何でも言ってください。あっ、もちろん、出来ないことはいくら叶井さんのお願いでも出来ませんが」

「ちょっと待って、一回話し合おう」

「もちろんです。お互いを知り合うことも大切ですからね。何のお話をしますか?」

「違う、そういうことじゃない」





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