夜空に見るは灰色の瞳
おかしなことになっている。いや、なってきている。
男がどうしてもしたがっているお詫びをさせたら、それで満足していなくなってくれるかもと期待したのに、なぜかそうはならなかった。
お詫びにお礼がプラスされてしまった。更に尽力されることになってしまった。
「……完全に想定外」
ベッドの上で頭を抱え、深く息を吐く。
こんな風に私を悩ませる原因であるところの男は、先ほど無理やり鏡に押し込んで帰らせた。
一応用事があると言ってはおいたが、心の内を感じ取れるあの男がそれを信じたかどうかはわからない。
そうして一人になったところで、一番落ち着く寝室のベッドの上で、私は頭を抱えている。
こんなことになったのは、日頃の行いが悪いせいなのだろうか。
いやでも、そんなに悪いことをした覚えはない。かといって良いことをした覚えもないけれど。
悩ましげな息を吐きながら、前かがみになって頭を抱えていた体勢から、体を起こす。
「……魔法使い、撃退法……」
何となくスマートフォンでそんなことを調べてみたが、出てきたのはよくわからないゲームのキャラクターを倒す方法ばかり。私が知りたいのはそういう情報ではない。