夜空に見るは灰色の瞳
でももしかしたらということもあるかもしれないので一応覗いてみたら、魔法使いなどの魔法系攻撃を得意とするキャラクターには、呪文詠唱中の素早い攻撃が大変有効と書かれていた。

どんな技がよりダメージを与えられるかまで書いてあったが、やはり私の知りたい情報はそこにはなかった。
ゲームをするうえでなら大変お役立ちな情報なのだろうけれど、生憎と私が今相手取っているのは、ゲームのキャラクターではなく実在している魔法使いだ。

もう一度、深く息を吐いてから、スマートフォンを後ろポケットに押し込んで諦めたように立ち上がる。

せっかくの休日なのだ。これ以上あの男のことで思い悩んでいては勿体ない。
出来るかどうかはわからないが、ここから先は余計なことは考えず、ひとまず今日という休日を楽しむ方がいいだろう。

だからといってこれから出かける気力はないので、今日は家の用事を済ませることにする。

まずは洗濯だ。次いで部屋の掃除もしよう。せっかくだからいつもより念入りにお風呂も洗おうか。
改めて予定を立てつつ、目に付いた床に散らばった脱ぎ散らかした服を拾い集める。
寝室を出たところで、台所が目に入ると思わず足が止まった。

シンクの横に置いてある水切りカゴの中、そこには先ほど使用した、男が魔法で作り出した玉子焼き用のフライパンが入っている。
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