夜空に見るは灰色の瞳
「でもその同期の子が言うには、兄弟っぽくは見えなかったそうなんですよねー。手を繋いでたとか、寄り添って歩いてたとか、そういうわかりやすい感じは一切なかったらしいんですけど、でもあれは見ればわかるって。そう言われると、俄然気になりますよね。叶井さんはどう思います?」

「ん?んー……どうだろうね」


正直に言うとどうでもいいのだが、流石にそれを言うのはまずいかと、適当な返事で濁す。

三永ちゃんは濡れた手を拭きながらまだ考え込んでいるが、私は最後の一つをしまい終えたところで構わず話を変えた。


「ありがとう、三永ちゃん。お礼にお昼はご馳走するよ。何がいい?」

「え、いいんですか!」


随分と熱心に考えていたから聞こえていないかとも思ったが、そんなことはなかったらしい。三永ちゃんの反応は早かった。
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