夜空に見るは灰色の瞳
「じゃあ、親子丼がいいです!近くに美味しいお店があるので、そこに行きましょ」

「……この近くにそんなお店あったっけ?」

「叶井さんは、ほとんど食堂かコンビニのお弁当でお昼を済ませちゃいますもんね。もったいないですよー。この近くって、美味しいお店が結構いっぱいあるんですから」

「へー……そうなんだ」

「叶井さんって、お休みの日とかもあんまり出歩かないタイプでしたっけ?」

「そうだね。どちらかと言うと、家にこもるタイプ」


そういう三永ちゃんは、私とは反対に休みの日は積極的に出歩くタイプだったか。
長期の休みがあったら好きな漫画の舞台になった町に聖地巡礼をしに行ったり、作者の出身地まで旅行したりしていると以前聞いた気がする。


「ちなみに、親子丼なら下の食堂にもあるよ?」

「食堂のも美味しいですけど、今日はやめておきましょう」

「……そっか」

「なにせ現在食堂には、主任がいると思われます。食堂に行ったはずの何人かが、お昼まであの人と同じ空間にいたくない、特に今日は機嫌が悪いらしいからって話ながら戻ってくるのに会いましたし」

「是非、外に行こう」






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