夜空に見るは灰色の瞳

こっちです、と歩いていく三永ちゃんの後について、職場を背にして横断歩道を渡る。
渡ったらしばらく直進し、最初の十字路を左に曲がってまたしばらく進んだところで、三永ちゃんは足を止めた。


「到着でーす!」

「へー……ほんとに近いね」


青い屋根と水色の壁、紺色ののれんがかかった全体的に青いお店が、本日の目的地。
三永ちゃんの後についてのれんをくぐって中に入ると、お昼時ということもあって店内は中々の混み具合だった。


「叶井さんは何にします?」


それでもすぐに案内されたのは四人掛けのテーブル席で、座ってすぐに三永ちゃんは、テーブルの端に置いてあったメニューを開いて見せてくれる。


「三永ちゃんは、親子丼だっけ?」

「はい。ここの親子丼、凄く美味しいんですよ。だからここに来るといつも親子丼頼んじゃいますね。と言うか、親子丼が食べたくなるとここに来ます!」

「そうなんだ」


メニューから他のテーブルにチラッと視線を移してみると、ほとんどのテーブルに丼が載っている。
それが親子丼の丼かどうかはわからないけれど、丼物が人気なのはよくわかった。
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