夜空に見るは灰色の瞳
「それで、彼氏さんは誰なんですか？この際、どこの部署かだけでもいいですから教えてくださいよー！」

「ちょっと待って。同じ職場であることは確定なの？」

「違うんですか？てっきり、そうだから教えたくないのかと」

「そもそも、いないって言わなかったっけ」

「じゃあ何で逃げたんですかー？」


最初に言った通り、三永ちゃんはどうあっても逃がす気はないらしい。
すっかり忘れて迂闊にも昼食に誘ってしまったことが、今更ながら悔やまれる。


「あれは別に、深い意味があって逃げたわけじゃ……」

「でも、やましいことがないならそもそも逃げる必要はないですよね？」

「やましいって……いや、まあ、確かにそうかもしれないけど、ほんとにあれはただ――」

「とにかく！ここまで来たらもう白状してしまうべきですよ、叶井さん」


まずい。三永ちゃんの声が段々と大きくなっていくことによって、近くのテーブルから順に視線を集めてしまっている。
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