夜空に見るは灰色の瞳
大路くんの指示でまずは私の前に、次は三永ちゃん、そして店員さんが一度厨房に戻る時間を空けて、最後が大路くん。

運ばれてきたお盆の上には、親子丼と味噌汁と漬物の小鉢が載っている。
三永ちゃん曰く、ランチタイムはこれがワンコインで食べられるというのも、人気の理由の一つらしい。


「これが噂の親子丼か。確かに旨そう」

「凄く美味しいですよ。叶井さん、お水入れましょうか?」

「あ、ごめん。ありがとう」


空になっていたコップに水を足してもらって、おしぼりで手を拭いて、既に一口目を食べて「ん!」と目を見張っている大路くんを横目に、私も一口。


「これです。この味ですよ。んー!美味しい」

「うん、これは旨い」


三永ちゃんと大路くんの感想を聞きながら、私も内心大きく頷く。

確かに、とても美味しい。

大ぶりの鶏肉と薄切りのタマネギをとじた玉子はふわとろで、甘めの出汁がまたいい感じだ。それが染みたご飯だけでも美味しいくらい。
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