夜空に見るは灰色の瞳
「……大路くんのあんな顔、たぶん初めて見た」
店を出る時、わざわざ外まで見送りに来てくれた大路くんは、大変不満そうな、心底嫌そうな、どうしようもなく不服そうな表情で、「気を付けてな」と絞り出すような声で言った。
しかもその後「大丈夫ですよ。叶井さんのことは、ちゃんと家まで送り届けますから」と笑顔で言い放った男を、射殺しそうなほど鋭く睨み付けていた。
店員としてらしからぬ態度であることもさることながら、全く大路くんらしくもない。
「あなた、やっぱり前に大路くんと会ったことがあって、その時何かしたんじゃないの?」
「そんなことを言われたって、僕にはさっぱりですよ。これっぽっちも覚えはありませんし、大路くんの顔に見覚えもありません」
「ほんとに?大路くんの顔よく見た?」
「僕、記憶力はいい方なんです。間違いなく、見たことのない顔でした」
それが本当だとすると、ますます謎は深まる。
大路くんは、初対面の人物にいきなりあんな態度を取るような人ではなく、むしろ初対面の人にこそ人当たりがいい。
「じゃあ何であんな……」
「叶井さんにわからないなら、僕にわかるはずないですよ。なにせ初対面なんですから」
店を出る時、わざわざ外まで見送りに来てくれた大路くんは、大変不満そうな、心底嫌そうな、どうしようもなく不服そうな表情で、「気を付けてな」と絞り出すような声で言った。
しかもその後「大丈夫ですよ。叶井さんのことは、ちゃんと家まで送り届けますから」と笑顔で言い放った男を、射殺しそうなほど鋭く睨み付けていた。
店員としてらしからぬ態度であることもさることながら、全く大路くんらしくもない。
「あなた、やっぱり前に大路くんと会ったことがあって、その時何かしたんじゃないの?」
「そんなことを言われたって、僕にはさっぱりですよ。これっぽっちも覚えはありませんし、大路くんの顔に見覚えもありません」
「ほんとに?大路くんの顔よく見た?」
「僕、記憶力はいい方なんです。間違いなく、見たことのない顔でした」
それが本当だとすると、ますます謎は深まる。
大路くんは、初対面の人物にいきなりあんな態度を取るような人ではなく、むしろ初対面の人にこそ人当たりがいい。
「じゃあ何であんな……」
「叶井さんにわからないなら、僕にわかるはずないですよ。なにせ初対面なんですから」