夜空に見るは灰色の瞳
「そんな。大路くんのお店の売り上げには貢献するのに、僕の実力向上には貢献してくれないのですか?」

「そこを一緒にするな!!」


話が全然違うだろう。第一、大路くんは昔からの知り合いであるけれど、男の方は最近知り合ったばかりだ。
正体がわかったところで得体が知れないのは今も変わらない男のために、なぜこの身を捧げなければならない。

今回ばかりはマットレスの時のように負けるわけにはいかないので、私は気力を振り絞って戦った。茶碗蒸しで回復した気力を使い果たすまで頑張った。

そうして気が付いたら、アパートが目と鼻の先にあった。

命拾いしたと私がホッとするのとは対照的に、男は大変残念そうな表情を浮かべていた。
全く、どこまでもとんでもない奴である。
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