夜空に見るは灰色の瞳

「で、なに？私これから三永ちゃんとお昼に行くんだけど」


今日は社内の食堂を利用する予定なのだが、早く行けばそれだけ待ち時間が短くて済む。
それはかつて一緒に働いていた大路くんもわかっているはずだから、遠慮なく言わせてもらう。
声の感じからして、そんなに重大な話でもなさそうだし。


「お昼はこれからか、じゃあ丁度良い。ちょっと出てこないか？三永ちゃんも一緒に、外で食おう」

「はい？……いや、そんないきなり言われたって。三永ちゃんにも訊いてみないと」


チラッと隣を窺うと、「何ですか？」と三永ちゃんが首を傾げる。
とりあえず訊いてみてくれよ。と大路くんが言うので、三永ちゃんにその旨を伝えてみると、何ともあっさりОＫが出た。


「むしろわたしがご一緒しちゃっていいんですか？わたし、お邪魔じゃありません？」


なんて、三永ちゃんはよくわからない心配をしていたけれど、大路くんは“三永ちゃんも一緒に”と言ったのだし、私が最初に昼食を食べる約束をしたのも三永ちゃんなので、外すつもりはない。
むしろ大路くんが“三永ちゃんは抜きで”なんて言おうものなら、問答無用で断る。

ともかく、三永ちゃんからは了承の返事を得たのでそれを大路くんに伝えると、ひとまず近くのコンビニに集合しようということになった。