夜空に見るは灰色の瞳
「よし、じゃあそこにするか。三永ちゃん、道案内よろしく」

「了解です!」


三永ちゃんの返事を合図に、車はコンビニを出て走りだす。
ちょっとそこまでお昼を食べに、なんて距離ではないと三永ちゃんは言ったけれど、車だとあっという間だった。

敷地内に入るなり三永ちゃんは、「席を確保してきます!」と車を降りて店の方に駆けていく。


「……車二台しか居ないから、そんなに混んでないと思うんだけど」

「わかんないぞ。自転車は結構止まってるし、案外中に入ったら行列が出来てたりするのかも」


会話しながら、空いているスペースに一発でバック駐車を決める大路くん。
今まで何度か乗せてもらったことがあるが、大路くんはバックのみならず縦列もお手の物だ。

免許は一応持っているけれど取ってから一度も乗ったことがないペーパーな私は、直接言ったことはないけれど、毎度心の中で感心している。
きっと世の女性達は、こういうところにもぽーっとなったりするんだろう。

車を降りて店の中に入ると、すかさず店員さんが駆け寄ってきて「二名様ですか?」と声をかけられる。

いえ、連れの者が先に。と大路くんが答えるのを聞きながら店の中を見渡すと、奥のテーブルで三永ちゃんが立ち上がって手を挙げるのが見えた。
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