夜空に見るは灰色の瞳
「わたしは、三種のチーズハンバーグをサラダセットにしようと思います」

「早いね。もう決まったの?」

「前来た時に、次はそれにしようって決めてたんです。ちなみにその時は、このごろっと野菜のグラタンっていうのを頼んだんですけど、美味しかったですよ。名前の通り、野菜がゴロゴロでした」

「なるほど……。じゃあ私はそれにしよっと」

「俺はビーフシチューにするかな。一番人気らしいし」


全員が料理を決めたところで、私がボタンで店員さんを呼び、三永ちゃんが三人分の注文をしてくれる。
その間大路くんは、テーブルの端に置いてあった水とおしぼりを配っていた。


「それじゃあわたしはちょっと失礼して、料理が来る前にお手洗いに行ってきます」

「うん、いってらっしゃい」


注文が終わるなり、三永ちゃんはそそくさと席を立つ。
去り際にこちらに向かって意味ありげな笑みを浮かべ、声を出さずに口だけを“ごゆっくり”と動かしていたのは、ちょっと意味がわからなかった。

でも三永ちゃんの背中は既に遠ざかってしまったので、疑問は胸にしまっておく。
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