夜空に見るは灰色の瞳
「……ただの知り合いを頻繁に家に上げて、手料理振舞って、お前一人暮らしなのに危機感なさ過ぎるだろ。男舐めんなよ」

「いや、別に舐めてないし……。ていうか、何で大路くんに怒られなくちゃいけないのよ」


こういう時、詳しく事情を説明出来ないのが大変もどかしいが、別に好きで家にあげているわけではない。
毎度勝手に上がり込んでくるのだ。それも、最近は鏡からの登場がお気に入り。

それに合わせて、近頃は洗面所のドアを開けっ放しにしてある。
なにせ、ドアを開けた瞬間鏡が目に入るので、そこにあの男が映っているとビックリするのだ。
ドアを開けておけば、廊下を通る時に鏡が横目に見えるので、いきなり正面からその姿を捉えるよりはずっといい。


「怒ってるんじゃない、心配してるんだろ。変な男に付きまとわれてるんじゃないかとか、ヤバい奴に絡まれてるんじゃないかって」


確かに、変な男ではある。何しろその正体は魔法使いだし。
それに魔法が使える以上、ヤバい奴であるとも言える。

制約が色々あるようであまり自由に魔法は使えないと言っていたが、その気になれば本当は何だって出来るのだろう。

もちろん、良いことばかりでなく、悪いことだって。
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