夜空に見るは灰色の瞳
「とりあえず、叶井はその警戒心の薄さをどうにかした方がいいと思うぞ。あと、その鈍感なところも」

「……もしかしてさ、喧嘩売ってる?表出る?」

「出ねえよ。それより、そろそろ三永ちゃん呼んどけ。たぶん、戻ってくるタイミングを見計らってるだろうから」


トイレに行った三永ちゃんが戻ってくるタイミングを見計らっているとはどういうことか、大路くんは何を言っているんだと思ったが、サラダも届いていることなので、言われた通りに三永ちゃんにアプリでメッセージを送る。

速攻で、了解しました!のスタンプが返ってきたかと思ったら、三永ちゃんはすぐに現れた。


「悪いね、気を遣わせて」

「はて、何のことでしょう。お手洗いがとてつもなく混みあっていただけですよ」


苦笑する大路くんに向かってニッコリ笑ってそう答えた三永ちゃんは、座るなり早速フォークを手に取る。


「では、お先にいただきます」


三永ちゃんがサラダを食べ始めてしばらくすると、大路くんのビーフシチューから順番に料理が運ばれてきた。


「おお、流石一番人気」

「ハンバーグだって負けていませんよ。見てください、このチーズのとろけ具合!」

「凄い……縁の方とかまだぐつぐつしてる」
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