夜空に見るは灰色の瞳
美味しそうで熱そうな料理を前に口々に感想を言い合って、食べて、また感想を言い合って、食事が済んだ後のお会計は、太っ腹な大路くんが気前よく三人分をお支払いしてくれた。


「この前の親子丼に引き続いて今日もご馳走になってしまって、ありがとうございます」

「ありがとう、大路くん。ご馳走様」

「二人共何か勘違いしてるな。これは先行投資ってやつだ。だから二人は、俺の店にお金を落としに来ないといけないんだぞ?」

「それ、言わなかったら“いい人”で綺麗に終わってたのに」


大路くんの運転する車でコンビニに戻り、そこで降ろされた私と三永ちゃんは、歩いて職場に戻る。
時間にはまだ余裕があるので、ゆったりとした戻り道。


「今度大路さんからお誘いがあった時は、わたしのことなんていいですから、お二人で行ってきたらいいと思いますよ。たぶん大路さんも、ほんとは叶井さんと二人でランチがしたかったと思います」

「……もしかして、三人は嫌だった?大路くんのこと苦手?」

「いや、そうじゃなくて」


三永ちゃんはそう言って苦笑すると、ややあって「まあ、いいです」と言った。

何がいいのか、そもそも何が言いたかったのかがさっぱりな私は、その横で首を傾げる。
それを見た三永ちゃんは、「これは大路さんも苦労しますね」と呟いた。






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