夜空に見るは灰色の瞳
「ところで叶井さん、先ほどの大路くんとのランチの件ですが、妙に得意げだった訳は、ひょっとしてその洋食屋さん、相当美味しいお店だったんですか?」

「え?ああ、まあ……美味しかったのは美味しかったよ」

「三ツ星レストランというやつですか?」

「……仕事の休憩時間に三ツ星レストランに行くわけないでしょ」


そもそも、得意げな理由がそれってどうなんだ。
俺はこんな美味しいお店でランチを食べたぞ!という自慢か?それをこの男にする意味が全くわからない。


「え、違うんですか?僕はてっきり、美味しいお店でランチを食べたことを自慢したかったのかと……」

「……いや、絶対にないとは言い切れないけどね」

「でも確かに、それを僕に自慢する意図は全くわかりませんね。じゃあどうして、大路くんはあんなに得意げだったんでしょう」

「……さあ?」


そんなことを私に訊かれたって、わかるわけがないだろう。


「叶井さんにわからないなら、僕にわかるわけがないですね。じゃあ、この件を考えるのは諦めます」

「……諦めるのが早過ぎるんじゃない?」

「諦めが肝心って、よく言うじゃないですか」
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