夜空に見るは灰色の瞳
「どうしました?叶井さん。何だかおかしな顔になっていますよ」
「……ちょっと訊きたいんだけど、二回ほど出てきてた“あの人”っていうのは」
「ああ、祖母のことですね。亡くなってからもうかなり経ちましたから、祖父はそろそろ迎えにきてくれてもいいんじゃないかってことあるごとに言うんですよ。そうなったら、一人残されることになる僕の身にもなって欲しいですよね」
やっぱりそういうことなのか。“迎えに”という言いぶりからして、何となくそうなのではないかと思ってはいたけれど、やはりそうなのか。
となると、この男が家族と呼べる人は、もうこの世にお祖父さんだけなのか。
離れてはいても両親が健在で、腰や膝に難はあれど祖父母も元気な私には、到底理解出来ないような寂しさを、この男は――――
「ところで叶井さん、何かお手伝いすれば、僕の分もおかずを作ってもらえますか?ちなみに何を作る予定でした?」
抱えているようには見えないけれど、きっと抱えているのだろう。たぶん。
「……きんぴら入れてオムレツ作ろうかと思ってた」
「オムレツ好きです!」
男の灰色の瞳がキラキラと輝き出して、最早作らないわけにはいかないような空気が漂い出す。
「……ちょっと訊きたいんだけど、二回ほど出てきてた“あの人”っていうのは」
「ああ、祖母のことですね。亡くなってからもうかなり経ちましたから、祖父はそろそろ迎えにきてくれてもいいんじゃないかってことあるごとに言うんですよ。そうなったら、一人残されることになる僕の身にもなって欲しいですよね」
やっぱりそういうことなのか。“迎えに”という言いぶりからして、何となくそうなのではないかと思ってはいたけれど、やはりそうなのか。
となると、この男が家族と呼べる人は、もうこの世にお祖父さんだけなのか。
離れてはいても両親が健在で、腰や膝に難はあれど祖父母も元気な私には、到底理解出来ないような寂しさを、この男は――――
「ところで叶井さん、何かお手伝いすれば、僕の分もおかずを作ってもらえますか?ちなみに何を作る予定でした?」
抱えているようには見えないけれど、きっと抱えているのだろう。たぶん。
「……きんぴら入れてオムレツ作ろうかと思ってた」
「オムレツ好きです!」
男の灰色の瞳がキラキラと輝き出して、最早作らないわけにはいかないような空気が漂い出す。