夜空に見るは灰色の瞳
「卵、混ぜましょうか?」

「もう混ぜたからいい」

「なら、フライパン熱しておきましょうか?」

「熱するのだけやられてもね」

「じゃあ僕は何をしたら、オムレツ作ってもらえるんですか!」

「……黙って座っててくれたら、かな」


不満げな男をなんとかテーブルの方に押しやって、台所に戻る。

なんだかんだと男が攻め込んでくる前に、手早くきんぴら入りのオムレツを二つ作って、テーブルに運んだ。


「スープは作ってないけど、インスタントの味噌汁ならすぐ出来るよ」

「叶井さんはどうするんですか?」

「私は、お茶でいいかな」

「じゃあ僕もそれで」


台所に戻って冷蔵庫を開けると、常備している水出しのお茶が入ったボトルを取り出し、食器棚からコップも二つ取り出す。
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